ルル師のRPプレイ日記=俺の屍を越えてゆけ編(PSP版)=
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近代ゲームの語り部です。 PSソフト"俺屍"ブログ、リセット禁止でやってました。11/11/24より、PSP版俺屍プレイ日記始めました。今度は5年もかからなければいいな、と思います。
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1024年 7月後編

<白骨城>

 貞光の部屋にあった書置きには、一言「しばらく留守にします」とだけ書かれていた
ほ「そういえば……お父様、出雲の鉄を自分で選定したいと、常々から申しておりましたの」
道「……あいつは、出雲まで行ったのか」
 なんてバカ野郎だ、と内心で毒づく
 というわけで、今回は道明、柚子、瑞穂、ほたるの四人での出撃である
瑞「いだいよぉ……うぅ」
 あちこちに包帯を巻いた瑞穂の泣き言を、道明が切って捨てる
道「自業自得だ」
 瑞穂と道明の間で、柚子がおろおろとしていた
ほ「さ、それでは参りましょう」
 ほたるが皆にニッコリと微笑む
 どうしてほたるは無事なんだろう、と思わずにはいられない瑞穂であった


 一同は戦場跡を走り抜け、城内に突入し、もはや迷う事無くアシゲの祭壇へと向かう
 

 恨み足に、柚子が大槌を叩きつける
柚「え、えええい!」
 昔に比べれば、度重なる激闘の末に、柚子の大槌もそれなりに当たるようになっていた、道明の見立てでは命中率7割強というところだろう
 柚子の大槌を正面から受けた恨み足は、砂の塔のように崩れ去る
 一撃で巨大な骨を粉砕した柚子を見て、ほたるが目を丸くした
ほ「あらあら、まあまあ……」
 コンコンと柚子の大槌を叩いて、ほたるは感嘆の声を上げる
柚「ふぇ……?」
ほ「柚子様って……本当に、壊し屋だったんですのねえ
柚「え、えええ……?」
 しみじみとつぶやくほたる
道「ああそうか、ほたるくんは、柚子くんの戦いを初めて見るのか」
ほ「ええ、術がお出来になるのは存じておりましたけれど……屋敷の印象から、箸も持ち上げられない方かと」
 米俵のような大槌をひょいと担ぐ柚子を眺めながら、ほたるがため息をつく
ほ「そうと分かっていましたら……この前、柚子様にあんな無茶は表立って実行しませんでしたのに……瑞穂様に、後ろからこっそりと指示だけ」
瑞「聞こえてるわよほたる!w
 一応叫んでから、瑞穂は先に進んでいく壊し屋の背を睨みつける
瑞「まったく、本当にね……普段はどんくさいくせに、あの果物め……」
 知らず知らず爪を噛んでいることに気づいて、瑞穂は慌てて指を離す、爪の手入れが無駄になってしまう、危ない危ない
 それにしても、本当に、柚子は凄いのだ
道「どうした瑞穂、行くぞ」
 父親の声に引かれて、瑞穂はふてくされたように返事をした
瑞「……はぁ~い」
 何となく面白くない、はっきりとした気持ちではないけれど
 

 四人は<速瀬>を重ねかけつつ、<寝太郎>を駆使し、必要最低限の戦闘に留めるように突き進む
 白骨城は高い、道明は本気で一ヶ月でこの城を攻略するつもりだった

  
 テウチの祭壇に入ると、例によって例のごとく、中央に青いつづらが設置してあった
 道明はふと、このつづらって冒険者が来るごとに、鬼が用意しておくのだろうか、などと準備する現場を想像してしまいそうになる、あまりにも情けない
 今更こんなものに、戦史を読んでいる壬生川家が引っかかるはずが、と向き直ると、我が娘が箱に飛びつくところが見えた
瑞「きゃー、お宝、お金、おまんじゅうう」
 道明が顔に手を当てると同時に、瑞穂が左右から迫る巨大な腕骨に悲鳴を上げる
瑞「えええ何これええ!」
 右のカイナを道明が防ぎ、左のカイナを柚子が受け止めた、それを見て瑞穂が頬を膨らませる
瑞「ちょ、ちょっと、何で果物がかばうのよ!」
柚「え、え、えぇ」
瑞「こんなの、あたいでも避けられたのに、余計なことを」
 舌打ちして薙刀を構える瑞穂に、柚子が思わず頭を下げる
柚「あ、それは、その……ごめんなさい」
 少し離れたところで、ほたるが素っ頓狂な声を上げた
ほ「あらあら……骨型の鬼が相手では、私の弓は突攻撃ですので、半減してしまいますのね」
柚「え、じゃあ……私の大槌は、打属性だから、1.25倍……?」
道「ふたりとも、それはゲームが違うよ!w
 ※俺屍にはそういった武器によるダメージの差はありません
 それはそうと、道明が<石猿>を唱え、瑞穂が皆に力士水を振りまき、強化された攻撃力で柚子とほたるのふたりが積極的に左右のカイナを攻め立てる
ほ「うふふ……面白いくらい削れますわね」
 ほたるの雨切り弓がうなりを上げ、左のカイナを貫いた
瑞「……何て威力」
 腕力では瑞穂よりも非力なほたるだが、属性弓のおかげでそのダメージは柚子に迫るほどの威力と化していた
 瑞穂のカマイタチは、もうボス級の相手には通用しない
 再生の暇も与えず、柚子が残った右のカイナを叩き潰す
 薙刀士という職業上の理由かもしれないが、大打撃を与えられない瑞穂は、そんな姉妹に挟まれて、わずかな居心地の悪さを感じてしまっていた
 
 
 左右カイナ撃破後、少し休憩して、一同は更に奥を目指す
 その途中で黒ズズ大将を倒しつつ、たまった経験値を消化している途中、小さな巻物を入手した
道「……<速鳥>の術」
 軽く流し読みをすると、どうやら速瀬の上位術が手に入ったようだ
道「そういえば、古墳の土偶たちが使っていた気がするな」
瑞「というわけで、早く覚えて楽にしてよね、果物」
 戦闘中に通常攻撃ばっかりするので、いつしかマップ上での回復・支援術は柚子の役目となっていた
 技力を利用し、腕力や身体能力を向上している壊し屋の極意だが、それでも素質の段階で柚子の技はズバ抜けている
柚「う、うん……頑張る」
瑞「頑張ります、でしょ?
柚「な、なんで、敬語……は、はぃ、頑張り、ます……」
 瑞穂に冷たい目で射抜かれ、ついつい頷いてしまう柚子だった


 白骨城を進むこと、17階層
 ついに壬生川一族は、英霊の間と呼ばれる最上階へと昇りつめた
 

<英霊の間>

 死者を弔うように、ロウソクが周囲に灯っている中を、四人は進む
道「城と言っても、所詮は朱点童子の作り出したもの……天守閣も殺風景だな」
ほ「何だか、怨念の渦巻いている場所ですわねぇ……」
瑞「ほたるの声だと、緊張感が無くなるわね」
 その大広間の中央、死者たちの骸骨がうずたかく積まれ、小さな山が作られていた
道「死んでまで朱点に利用され……さぞかし無念だろう」
 道明が近づいたその時、
○「そんなことはねえゼ、永遠の命ってのは悪くねえ気分だ
 カタカタカタと音を立てて、白骨化していた頭蓋骨が突然声を上げた
柚「ひっ」
 柚子が泣き出しそうな顔で、一歩下がる
 やがて骸骨は頭だけ浮かび上がって、忍び笑いを漏らす
○「俺様は悪党の中の悪党、大江ノ捨丸よ
道「捨丸……?」
 道明が眉根を寄せる
ほ「ご存知なのですか?」
道「……ああ、京都で朱点の名が聞こえ始めた頃、都で変死した武士の名だ……いや、公家の養子だったかな」
捨「何でえ、知られちゃってるたあ俺様も有名人になったものだナ
 ケタケタケタと笑う捨丸は、調子に乗ったのか辺りをふわふわと漂う
道「確か、朱点童子の故郷……大江山都を滅ぼした主導者の名も、捨丸」
捨「物知りだな兄ちゃんよ、ケケケ、だがありゃ帝さまぁのご命令で、俺様はただの使いっぱしりよ……まあ、好き勝手やらしてもらったけどナ、ケケケ
 捨丸が浮遊して柚子に近づくと、柚子は悲鳴を上げながら捨丸を手で払い落とす
柚「きゃぁぁ」
捨「いてえっ……ったく、これだから女ってやつぁ……
 回りながら去ってゆく
捨「ところが、だ!
ほ「まぁ……捨丸さんの顔がパッと明るく」
瑞「いや表情なんて分からないでしょガイコツ」
 さらにぐるぐる周りながら、嬉しそうに捨丸は叫ぶ
捨「どういう風の吹き回しか知らねェが、俺たちにもあの世の門を開いてくださるらしいんだ、神様がよォ
道「……何だと、君のような奴に……?」
 大江山都を滅ぼした男ということは、間接的にも朱点童子を生み出す原因になった男ではないのか、神は一体何を……?
捨「その条件ってのがなあ……“おまえたち一族と戦うこと!”ときなすった、てっきりあの方はおまえたちの後押しだと思ってたゼ
 高速回転しながら訳の分からないことを言う捨丸に、道明は薙刀を構える
捨「まッ、自分の子供を10人も産んだ女房でも、心の底のよどみの色までは亭主にゃ見せねェだろうけどよ
道「お前は何を、何を知っている……?」
 捨丸はそこで回るのを止め、口を大きく開いて笑った
 その目が鈍く緑色に光り、捨丸の体が突然巨大化してゆく

大江ノ捨丸「女心はわからねぇもんだナ、ケケケっ……悩みながら死になッ!!
 
 正体を現した捨丸は、見上げるほどに巨大な頭蓋骨となり、その上部に二本の巨大な角が生え、さらに奇怪なのは本来耳のつく場所に赤と青の人面が付着していた
道「怪物め……!」
 何度も化け物と対峙したことはあったが、捨丸のその全形はあまりにも異形だ
 捨丸はその巨大な口を開く
捨「喰らいやがれ!
 噛みついてくるのかと守りを固める四人に、捨丸の眼窩が緑色に輝いた
 その瞬間、捨丸は骨片を口から吐き出した
道「な!」
瑞「えええ!」
 土砂のように押し寄せる骨片に全身を強打され、四人は体力を削り取られてしまう
道「<春菜>!」
 慌てて回復の術を唱える道明と、皆に力士水を振りまく瑞穂
 柚子とほたるはそれぞれ散開して、捨丸の本体を取り囲むが、その時右側に張り付いていた赤い人面が力を溜め始めた
柚「え、ええぇ、左右も動くんだっ」
ほ「力溜めされると、怖いですわねぇ……」
 柚子とほたるは狙いを捨丸右に移し、その体力を一気に奪う
柚「こ、これで……相手の番が来る前に、次で仕留められる、かな……?」
捨「ケケケ!
 その時、中央の頭部が<円子>を右側に唱え、420を回復させる
道「……瑞穂、<石猿>を修得したって言ってたよな」
 それを見て、道明が次手に向けて備えるため、隣にいる娘に声をかける
瑞「う、うん……一応」
道「よし、行くよ」
 道明と瑞穂の周囲に、土の神気が渦巻いてゆく
道「……涼かさや・我に弾ける鬼の爪!
瑞「岩となり・矛も剣も折れにけり……!
 親子の技力が併される
道・瑞「<石猿>!」
 四人の周囲に強力な鎧が形成された瞬間、右側の頭部が溜めた力を打ち放った
 その相手は運悪く、壬生川家の中でも最も防御力の低いほたるだった
ほ「あらぁ」
 赤い頭部が口から放った石柱のような角が、<石猿>の甲冑を破り、ほたるの胸に突き刺さっていた
 にこり笑って、ほたるは血を流しながら、ゆっくりと倒れた
ほ「少し……調子に乗りすぎでしたわね……」
道「く……!」
 道明は引き続き<石猿>の術を唱え続けるが、瑞穂には分かっていた
 今の一手は瑞穂が術の詠唱の手順を一個抜かしてしまったため、不完全に発動した結果だ、道明はそれに気づいていたはずだが、何も言ってこない
 瑞穂は奥歯を噛む、情けなくて涙が出そうだ
 若いほたるや泣き虫の柚子ですら頑張っているのに、自分はこのザマか、何かに突出したくて必死に覚えた<石猿>の術も、中途半端なままなのか
道「瑞穂、手が止まっているぞ!」
 父親の怒声に我に返ったとき、瑞穂の目の前に捨丸が迫っていた
捨「死ねやアマァ!
 急速に迫った鬼に対し、その前に柚子が躍り出た
 突撃してくる捨丸を、柚子は大槌で打ち返す
瑞「柚……」
 思わずその場でへたり込む瑞穂を背中にかばい、柚子は大槌を高く構えた
 右と左の捨丸と中央の捨丸、頭蓋骨は三匹、もしかして同時に倒さなければ左右のカイナのように、復活する可能性も考えられる
 柚子は、大槌を掲げる
 そんな柚子に降りかかる骨片や角を、道明が前に進み出て弾き返す、そして柚子の準備が整った
柚「壊し屋奥義その参……大地震!
 柚子が不動の大槌を地面に叩きつけると、波紋が広がった
 朱点が力を結集して作り出した白骨城の広間に軋みが入り、大地から伝わった波動が、捨丸の左右をその瞬間に破砕させた
捨「ギャー、何だてめえ!
 怒りに我を忘れて突撃してくる捨丸に、柚子が大槌を持ち直す
 瑞穂は柚子の目を見た、泣きはらしても、真っ赤になってもいない、それは戦うことを決めたひとりの武人の目だった
 捨丸と柚子の影が交わる瞬間、柚子が叫んだ
柚「奥義――悶絶圧ッ!
 乾いた木を打ち合わせるような澄んだ音が響いた
 柚子の放った奥義の残炎が薄れゆき、大江ノ捨丸はその異形の体躯を砂に変えた
 
 
 深呼吸するようにゆっくりと息をはいて、柚子はその場にしゃがみこむ
道「……大丈夫か、柚子くん」
柚「え、あ……はい、何とか……」
 道明が柚子の肩を抱いた
 今でこそ奥義の連打に慣れているかもしれないが、柚子は確実に命をすり減らしているのだ
瑞「……ありがとね、柚」
 瑞穂もまた、柚子に手を貸す
柚「あ、うん……瑞穂さんが、無事でよかった……」
 そう言って、柚子は力なく微笑む
 瑞穂は照れ隠しに怒ったような顔で柚子の手を引いて、ふと気づいた
瑞「あれ、ちょっと柚、血がだらだら出てるじゃない!」
柚「え、あ……」
 技力が尽きていた柚子に代わり、瑞穂が<円子>を唱える
柚「ホントだ……血だ」
 瑞穂は気づかれないように、こっそりと肘の先をつねってみたが、柚子の顔色は変わらない
 腕の感覚がなくなっているのだ柚子は、それが奥義の打ちすぎかあるいは普段からかは分からなかったが
 瑞穂はその時本能的に、この少女が背負っているものの重さの片鱗に触れてしまった気がした、そして、この姉には一生敵わないという劣等感もまた、背負い込んでしまった
 
捨「そこまでだ!
 捨丸の叫び声が、広間に響いた
 そこには、人間の姿となった捨丸が、気絶しているほたるの首を掴んで、その胸元に小刀を当てていた
道「貴様、まだ生き残っていたのか!」
 術印を結ぼうとする道明の前、捨丸が小刀を振り上げる
捨「ヘッ、俺は魂だけの姿だけどよ、この刀は本物だゼ……良かったら、試してみるかい!
 生前と思われるその下卑た表情を見て、道明が歯噛みする
捨「ハナから俺はおまえたちの肥やし代わりだったのよ、そんなことは分かってらあ、どうせ捨て犬人生だ!
 ほたるを見下す捨丸の目が細まる
捨「息があんな……まだ、この小娘
瑞「何をする気よ、このオヤジ!」
 捨丸は底冷えのするような気味の悪い目で、瑞穂を見返した
捨「ケケケっ…あんなかわいい顔して、鬼の俺たちを手玉に取る女神だ……朱点よか恐ろしいゼ、手土産のひとつやふたつ持っていかねえと、本当に働いたかどうか分からねェだろ!?
 この距離で捨丸の腕から小刀を弾き飛ばせるかどうか、道明は計算する
 懐刀を抜き、投げ飛ばし、確実に捨丸の手首に突き刺さなければならない
捨「くわばら、くわばら…!
柚「や、やめて……ッ!」
 柚子の悲鳴に合わせて、道明が腰の裏から短刀を抜き、打ち出そうとした瞬間、
 一本の槍が凄まじい速さで飛来し、小刀を振り上げた捨丸の右肩から先を吹き飛ばした
捨「げ、ゲエエエ!?
 英霊の間の誰もが、呆然とした
 その中で、捨丸だけが恐ろしいものを見た表情のように顔を歪ませ、叫ぶ
捨「ンな、バカな、あれほどの大群相手に、まだ生きてやがったのか……!
 柚子が思わず振り返るが、そこには誰もいなかった
 ただ、懐かしい香りだけが残っていた
 瑞穂がほたるを救い出し、道明が捨丸の首を刎ねると、広間に声が響いた


大江ノ捨丸「ケ、ケケケ……せいぜい残り短い人生を、楽しむんだな……ケケケケ!

 大江ノ捨丸の魂が、天上に召されていくのが見えた
 
 柚子は壁に突き刺さった槍をしばらく眺めていたが、道明の声に呼ばれてその場を離れた
 ほたるは養老水により一命を取りとめ、壬生川家は辛くも死者を出さずに、夏の白骨城を後にしたという
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by RuLushi | 2005-12-01 23:41