ルル師のRPプレイ日記=俺の屍を越えてゆけ編(PSP版)=
mibukawa.exblog.jp
近代ゲームの語り部です。 PSソフト"俺屍"ブログ、リセット禁止でやってました。11/11/24より、PSP版俺屍プレイ日記始めました。今度は5年もかからなければいいな、と思います。
ブログパーツ
カテゴリ
=荒神橋家私書箱=
最新の記事
初めましての方へ/トップ
at 2014-12-31 17:42
1019年12月前編
at 2012-10-30 09:02
貞光とほたる
at 2012-09-09 04:59
1019年11月第9編
at 2012-09-03 07:56
1019年11月第8編
at 2012-09-01 11:49
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
序幕
 
 
 『短命の呪い』・『種絶の呪い』
 そのふたつの説明を受けた彼女は、しばらく目を瞬かせていた。
 
○「……つまり」
 
 目を瞑り、顎に手を当てて考え込む素振りとともに、つぶやく。

○「夢も希望もない、ってことだね……」

 両親は殺され、都は荒れ放題。
 凄まじい速度で成長するも、自分の命は二年も持たず。
 将棋でいう、詰みの形ではないだろうか。


 されど、光は囁く。
 声の主は女性。遥か上空から降り注いでくるような、不思議な響きを持つ声音だった。

 「希望はあります」

○「あ、そう、なの?」
 「それは、あなたの血の中に」

 人の形をした光は、ゆっくりと手を差し伸べてくる。
 すると少女の右手の指に、小さな花が咲いた。
 鈍色の指輪だ。
 
○「あらきれい」

 「その指輪がある限り、あなたの一族には神々の加護が与えられるでしょう」
○「……例えば、どんな感じで?」
 
 指輪を撫でながら尋ねるも、光は答えを返してはくれなかった。
 代わりに、輪郭線で縁取られた両手を天に掲げる。


「どうぞ、見せませ」
 
 
 すると、四本の光の柱がゆっくりと降りてきた。
 雲の切れ間から差し込む光線のような暖かな風が吹き抜ける。

 焼けた肌の壮漢。
 鹿の角を生やした知的な美丈夫。
 ウサギと人の合いの子のような少年。
 そして、物静かな黒尽くめの美男。
 

 それぞれ、火と水と風と土を従えた、神々の顕現である。
 全身から神気を立ち上らせた四人の男たちに囲まれて、彼女はわずかにおののいた
 若干、身の危険すら感じてしまう。

○「わお」

 「どうぞお選びください」
○「え、どういうこと?」
 「子作りです」
○「わーお」
 
 ぶっちゃけた光の声に、少女は若干引いていた。

○「でもさっき、種絶の呪いって」
 「人と人の間に子孫を残すことは、できません」

○「つまり、その呪いがあっても、神サマとの間には子供が作れるの?」
 「そうです」
○「で、神サマの力を受け継いでいったら、そのうち一族が強くなって、いずれは朱点童子が倒せるかもー、って?」
 「はい」

 妙に察しの良い彼女は、腕組みをしてうなる。
 
○「なんだかすごく長い道のりのような気がする……」
 「さあ、どちらの方にいたしますか?」

 急かされて、彼女はそれならば、と神々を見た。
 根絶やしにされそうになった自分たちの一族を無償で助けてくれる、義に溢れる神たちだ。
 顔はどれも……悪くない。

 だが、なんとなく気は進まない。


○「なんかなー……なんかなー……」

 
 頭を抱えながら、身体を左右に振る。
 言われるがまま子作りをしてしまうことに、少女は漠然とした不安を抱えているのだ。
 これからの生き方、一族としての悲願。そういったものを全て、未熟な自分が抱えたまま、次の世代へと引き継いでいかなければならないことが、嫌だった。
 
 いわばこの決断こそが、どこまで続くかもわからない復讐の連鎖を生み出すことになるのだ。 
 幼き理解力の彼女がそこまで見通していたわけではない。それは予感だった。
 

○「でもなー……でもなー……」

 
 しかし、全てを断念するには、彼女はまだ小さすぎた。
 ただひとつの思い出すら持たずに生を諦められるような、そんな少女ではなかったのだ。
 優しき彼女はしかし、生の輝きに満ちていた。

 
 だからこそ神々までも、少女に手を貸そうと思ったのかもしれない。


 結った紅の髪を後頭部で束ね、その真っ直ぐな瞳は金色の様。
 白い肌は瑞々しく、武士よりも公家の少女のほうがふさわしいほどに、美しかった。
 
 荒神橋源太、お輪の娘にして、朱点の呪いを浴びし娘。

 
 その名も、荒神橋瑠璃(こうじんばし るり)――
 

 瑠璃は、ちら、と光を伺う。その眩しさは暖かく、心が穏やかな気持ちになってゆく。

瑠「うーん、まあ……それなら、お願い、しようかな……」
 
 朱点童子に無残に殺され、捨てられるはずだった命を拾ってもらえたのだ。
 せっかくだから、もっと色々なことを経験してみるのも悪くないかもしれない。
 
瑠「じゃあ、えっと」
 

 目が合ったひとりを選ぶ。
 様々な不安に耐えながらも負けじと立ち向かうことを選んだ瑠璃が欲したのは、一時の安寧。
 その神は、とても優しそうな少年だった。


瑠「その……よろしく、お願いします……」

 宇佐ノ茶々丸に頭を下げると、彼はニコッと笑った。

 
宇佐「お相手しま~す」
 
 

 かくしてふたりの交神は実を結び、荒神橋家には新たな子供が生まれる。




 初代当主、荒神橋瑠璃。
 信条は、大死一番。
 どうせ滅びる運命ならば、『死ぬ覚悟で何かをしてみること』の意である。

 彼女こそこれより先、何代にも渡る荒神橋一族の母である。
 今はまだ、多少流されやすいところのある、幼き少女であった。
 
  
 
[PR]
by RuLushi | 2011-11-24 00:08 | 初代当主・瑠璃